慢性腎臓病闘病記【12】-食中・食後の大幅な血圧低下,レストランで意識を失う

12-1 非透析日の昼食後の大幅な血圧低下

6年前に人工透析を始めた頃は,そのようなことは無かったが,最近では,昼食後に血圧がかなり下がる傾向が顕著になってきたように思う。また,夕食中に急激な血圧低下が起こったらしくて,救急搬送されたこともある。

私は若年時から高血圧症で,それが原因で慢性腎臓病になってしまった。降圧剤は今も服用している。図12-1の上段のグラフは,6月11日(透析日)の血圧変化を示しているが,血圧は,朝1番の測定時の値175から昼過ぎの値125まで50mmHG下がっている。私の透析日における収縮時の血圧は,通常,朝が160~170mmHG,透析中に120mmHG程度に下がってくるので,血圧上昇剤アメジニウムメチル硫酸塩錠10mg(以下,アメジウム)を透析開始2時間後(AM11:00頃)に服用する。すると,透析終了時には140~170mmHGに回復している。

本年6月12日(非透析日),昼食に車で回転すし店へゆく。寿司を多めに頂いて,帰宅後,食事から30分すぎた頃,血圧が下がってきたように感じて測ってみて驚いた。図12-1下段のグラフに示すように,その日の収縮時の血圧は,朝の最高値164から食後昼過ぎの最低値83まで81mmHGも急速に下がっていて,収縮時の血圧は90mmHgを下回っている。私の場合,収取時の血圧が90mmHGを切るとふらふらして,立っているのがきつくなる。本ブログ「慢性腎臓病闘病記【11】」11-3節にも書いたが,透析患者は貧血になるためか,食後に血圧が下がるのはいつものことであるが,このように,昼食後に大幅に下がったことは,今まであまり無かった。

私の場合,通常,朝の血圧が高く,また朝食は軽いので,朝食後の血圧低下を意識することはない。私の習慣として,透析日では昼食は外食,夕食は軽めの食事をとることが多い。非透析日には昼食は重い外食,夕食は自宅で軽くとることが多い。透析日か非透析日かにかかわらず,夕食後,すぐ横になることが多いので,夕食後も血圧は下がっていると思われるが,夕食の軽さのせいか,血圧低下をあまりはっきり意識したことはない。ただ,たまに,会食会などで,夕食がかなり重くなったり,アルコールが入ると,上に述べたように,血圧低下が顕著になる。このように,透析日,非透析日にかかわらず,最近は昼食後の血圧低下が著しい。

 

    図12-1 6月11日(火,透析日)および6月12日(水,非透析日)の血圧変化

 

12-2 食中の血圧低下-レストランで意識喪失,救急搬送へ

話は前後するが,去る本年3月28日(透析日)の夜,娘や孫達と久しぶりに国立のあるレストランに集まって会食会を開いた。午後8時ころ,レストランで食事中に突然意識を失うことがあった。はずかしいので,書くことはやめようと思っていたが,読者の御参考になればと書き留めておくことにした。

透析の後,会食会に参加するのは,めったに無い。透析日は,いつもは,透析後ぐったりしてバスに乗ってやっと自宅に帰り,そのまま横になっていることが多いが,この日は頑張って出かけた。

なみなみとつがれたグラスワインを1杯飲みつつ,食事を楽しんでいたが,ワインを飲み干す頃,何か「フアッ」とするような気分になった。「少し酔ったかな」と思った。水を飲みたくなったので,家内にセルフの水を一杯もってきてもらうように頼んだ。この2,3分後に,家内が水を持ってきたときには,私はすでに,顔面蒼白,ホッペをたたいても返事はなく,意識不明に陥ったようである。ついさっきまで普通に話をしていたのに,2, 3分後には,突然,意識不明になった。

娘が救急車を要請。隊員数名が,レストラン内に入ってきた。隊員が私を調べると,白目をむいていたようである。しかし,家族たちが必死に呼びかけて,少しすると意識が回復した。

担架も搬入,テーブルの上にあおむけに横に寝かされた。外出時には,万が一に備えて,いつも,「保険証」や「お薬手帳」などを持参している。消防隊員がそれらを見ながら,救急患者の受け入れをいくつかの病院に打診して下さる。救急患者の受け入れ先はどの病院も混んでいてなかなか見つからず,受け入れ打診は1時間弱かかったようである。ついに,立川のある病院が受け入れて下さった。病院に着く頃には,私の意識もかなりハッキリしてきた。

レストランとお客様には,大変ご迷惑をおかけした。

本ブログ「慢性腎臓病闘病記【8】-外出先で倒れて実感したカリウム・コントロールの大切さ」でも述べたが,レストランで気分が悪くなって横になったことは,今まで何度かあったが,救急搬送の経験は今回が初めてであった。

後日,透析クリニックの医師の先生の回診の際に,このことをお話しし,「今後,透析後には会食には参加しないようにします」とお話ししたところ,先生は,「会食の前にアメジウムを飲んでおくとよいですよ」ということであった。アメジウムは,透析直後の血圧低下を予防して,無事に帰宅できるように透析中に服用する血圧上昇剤である。なお,看護師さんからは,血圧上昇剤は錠剤なので,効果が出るまでに時間がかかるが,「錠剤をかみ砕いて服用すれば,効果がすぐでるでしょう」とのことであった。「透析患者の場合,このような工夫も必要なのだなあ」と思った。透析患者は,旅行もあまりゆけないので,食べることが楽しみの一つになる。今回のこのようなことがあっても,会食をなくすというわけにはゆくまい。

現在,透析は6年目であるが,初めのころは,このようなことはなかった。アメジウムは,今年に入ってから服用するようになった。永く透析していると,体質も少しずつ変わってゆくのであろうと思う。

本ブログ「慢性腎臓病闘病記【2】-人工透析生活の実際」17節にも書いたが,透析中に血圧が下がりすぎると,体が熱くなる。今回の例では,このようことはなかったが,急な血圧低下が起きたのではないかと思う。食事による血圧低下に,飲酒による血管の拡張や副交感神経の活性化などによる血圧低下が重なって,血圧が急激に下がったのではないかと思う。透析患者は,こうしたことも自覚しておかなければならない。

(2024年6月17日 記)