慢性腎臓病闘病記【13】-高血圧症からの離脱:グッドバイ 降圧剤
最近,降圧剤を服用しなくなり,逆に昇圧剤を服用するようになってきた。その顛末をお知らせしたい。
これまでの数十年間の長い間,毎日,朝夕に降圧剤を服用してきたが,それでも以前は,上(収縮時)の血圧が朝170mmHg以上になる日もあった。
1年ほど前より,非透析日では,朝の上の血圧が170mmHGの日もたまにあるが,おおむね160mmHg以下に下がるようになり,また,透析日では,朝,血圧が高くても(170mmHg前後),透析中に血圧が低がってくるようになってきた。
このため,降圧剤は非透析日のみ服用し,透析日では透析中の血圧低下を避けるために,降圧剤を服用せずに,逆に血圧を上げる薬(昇圧剤:アメジウム)を透析開始後2時間経過した透析中に1錠服用するようになってきた。透析時間は,4時間ないしは4時間半である。
数ヶ月ほど前より,透析日翌日の非透析日の早朝血圧は,透析で水分を2kg~3.5kg程抜くためか,130~150程度に下がることが多くなってきた。
慢性腎臓病闘病記【12】にも述べたが,2024年12月中旬頃から透析後の血圧低下がさらに著しくなってきた。
透析が終わって,着替えをし,街にでて簡単な昼食をとり,バスにのり,透析終了後1時間後くらいに自宅に着き,しばらく休憩してから血圧を測ってみると,上(収縮期)の血圧が,80mmHg程度になることが多い。血圧が透析で下がり,さらに簡単な昼食で更に下がってしまうようだ。
一例として,図13-1に,透析日の2024年12月12日(木)における血圧・脈拍の変化を示す。こうした傾向が定着してきたようである。
図13-1 2024.12/12 木(透析日) 血圧・脈拍
縦軸は血圧(mmHg),横軸は時刻を表す。透析途中(11:100頃)で降圧剤を服用した。
上のグラフには示されていないが,朝食後も軽めの血圧低下が起こっているようだ。
朝食は軽いので,血圧低下の程度は小さく,昼食後や夕食後ほどではないが,やはり起こっているようだ。
私の場合は,上の血圧が120 mmHg 以下では,少し気分が悪くなるときがある。100 mmHg 以下では立っているのがつらい。足が動かなくなり,歩くのがつらい。食後,こうなることが多い。80 mmHg では,横になりたくなる。逆に,一番体調が良いと思われる時は,血圧が150mmHg前後の場合である。
そこで,こうした過度の血圧低下状況を避けるために,透析中のみならず,透析終了直後にも,血圧上昇剤アメジウムをさらに1錠追加服用(透析日に計2錠)してみたが,上の血圧で最も低い場合が80mmHg程より少し高くなる場合が多いものの,やはり80mmHg程度の時もあり,血圧はあまり上がらない。「80mmHg程度の血圧では,危険ですよ」との院長先生のお話があった。
昇圧剤の追加服薬で上の血圧が120mmHg以上にはあがってほしいが,なかなかそうならない。今後,そうなるように服薬の工夫が必要であると思う。
血圧と服薬の傾向をまとめると,次のようになる。
・ほぼ1年前迄:毎日血圧高く,朝・夕 降圧剤服用
・ほぼ数ケ月前:血圧低下の日もボツボツ現れ,非透析日のみ朝・夕に降圧剤を服用するようになり,さらに次第に夕の降圧剤の服用もやめるようになった。
・最近:透析日・非透析日に関わらず,朝夕ともに降圧剤は服用しなくなり,また透析日では昇圧剤を毎回,非透析日では時々服用するようになった。
このように,透析中の血圧低下や食後(透析日・非透析日共に)の血圧低下が起こるようになり,またそれに伴って降圧剤の服用が無くなり,代わりに透析日では透析中に,非透析日では血圧低下を防止するために時々食前に昇圧剤を服用するようになってきた。
血圧を下げよう下げようとしてきたこれまでの数十年間の毎日から,透析日の朝を除いて,逆に血圧を上げよう上げようとする毎日へ,様子がガラッと変わってしまったわけである。今後も,たまの旅行や会食で塩分や水分を摂り過ぎた日の翌日や,透析日と次の透析日の間の非透析日の2日目の朝には血圧が上がってしまい,こうした日には降圧剤を飲むこともあると思うが,基本的には, 若いころからの高血圧症で慢性腎臓病になってしまった自分の体が,降圧剤から解放されたと思う。永年苦しみ続け,しかも慢性腎臓病の原因ともなった高血圧症から離脱したといえるであろう。もっと何年も何十年も前に,このようなことが起きていれば,慢性腎臓病に苦しむこともなかったであろうと思う。
こうした状況のなか,過度の血圧低下に対処するために,透析クリニックの院長先生は,11月中旬から12月下旬にかけて,私のドライウェイトを立て続けに60.0kgから60.80kgへ800gも上げて下さった。
ドライウェイトを約1kg近く増やすことは大変なことで,通常は,季節的な体重の変化に伴って,一度に100gとか200gの変化で,これも半年か数か月に1回程度であったが,今回は短期間のうちに4回も増加したわけである。
そこで,体重も増加しているのではないかと考え,その変化を調べてみたところ,体重は,2023年12月下旬から約1年間の間に,図13-2 に示すように,約0.8kg~0.9kg増加していた。
図13-2 朝体重変遷(2023.12.25~2024.12.30)
縦軸は体重(kg),横軸は月日を表す。また,青い線は朝体重,黄色の線はドライウェイト(DWT),赤線は平均(線形近似)を表す。近似曲線(赤破線)は,約1年間で体重が0.8~0.9kg増加していることを示している。
体重の増加0.9kgに対応して,ドライウェイトが2023末の60.0kgから0.8kg上げられたので,その結果,透析中および透析後の血圧低下傾向は緩和され,上の血圧は,透析後および食後でも100mmHgより下がることはなくなった。透析中や食後の血圧低下傾向が改善したと思われる。
すなわち,ドライウェイトを低く設定しすぎると血圧低下が著しく,逆にドライウェイトを高く設定しすぎると血圧上昇が著しい。血圧はなんと,ドライウェイトに敏感なのかと,今回改めて認識した次第である。
しかし,ドライウェイトの値を高めに設定しなおすことにより,上の血圧の最低値は100mHG以上になるように改善されたが,透析中・食後の血圧低下傾向は依然として続いている。
一般に,このような血圧低下は,透析によって体内の水分が抜かれて血流量が減るため,食事の際は胃腸に血流が集中するために起こるのであろう。
しかし上に述べたような,降圧剤の服用をやめ,昇圧剤を服用するようになった体質の変化は,どうして起こったのであろうか。透析クリニックの医師の先生のお話では,このような血圧低下は,体質的なものであるとのことであるが,原因を追究したくなる。
以前のブログ「慢性腎臓病闘病記【2】-人工透析生活の実際」や「慢性腎臓病闘病記【4】-排塩サプリの活用」などの中で述べたが,筆者は永年にわたりサプリを服用してきた。それらは,血管中で一酸化窒素(NO)を出して血管のしなやかさを保つサプリや,食事の塩分の摂取を減らす排塩サプリなどである。また,毎日,酢入りのトマトジュースを飲んできた。これらの影響で動脈硬化が緩和されてきたためのであろうか? これが正しいかは,動脈の硬さを調べる検査を受けていないのでわからないが・・・。こうした検査のかわりに,脈圧(=上の血圧-下の血圧の1日の平均値)の変遷を見てみると図13-3に示すように,この期間内でほぼ一定で,大きな変化はない。
図13-3 脈圧の変遷グラフ(2024.07.01~2024.12.30)
縦軸は脈圧(mmHg),横軸は月日を表す。
また,サプリは,上に述べたものの他に,内臓脂肪を減らすサプリも永年服用してきた。内臓脂肪が多いと血圧が上昇するらしい。筆者は重いメタボからは脱却しているが(慢性腎臓病闘病記【1】),お腹は少し張り出し,腹囲は92cm程度で,多少メタボ体質である。このお腹の張り出しが,内臓脂肪が少しずつ減少して改善しつつあり,そのため血圧が下がるようになってきたのかもしれない。確かに,最近,腹囲は以前より少し小さくなってきたように感じる。
年に一度の市の「後期高齢者医療健康診査」の結果をみると,過去3年間では,身長,体重,腹囲の値はほとんど変化なく,したがってBMIの値もほとんど一定であった。しかし,体重が変わっていなくとも,内臓脂肪が減少し,その分筋肉がつき,また毛細血管の状態も改善してきたのかもしれない。これはあくまで推測であるが,その結果,降圧剤からの解放が可能になったのかもしれない。しかし,市の健康検査の結果をみると,LDLコレステロール,HDLコレステロール,中性脂肪の値も過去3年間でほとんど変化がみられなかったので,この考えも正しいかどうかわからなくなる。過去1年以内の体の変化をより詳しく知る必要があるのかもしれない。
さらにまた,体内のカリウム量が増えてきて,心臓に悪影響を与えているのではないかという点も考え,カリウム量について,詳しい血液検査(2024年12/10実施)の結果を従来の値と比較してみたが,従来とほとんど変わらなかったので,この点も原因として考えにくい。
あるいは,もっと根源的な何かの変化,例えば心臓が弱ってきたとか,貧血が進んできたためであろうか? もっとも,透析クリニックでの心臓のレントゲン検査の結果は,心臓肥大の変化はなく,また血液検査結果も,腎性貧血の程度に変化はないので,このような原因ではなさそうである。
このように,体質が変わってきた原因ははっきりしないが,今後,この傾向がずっと続くかどうか,それに伴って体調がどう変わってゆくかを見てゆきたいと思う。
2024(R06).12.31 記