慢性腎臓病闘病記【7】-排塩サプリの長期服用(11ヶ月間)から見えてきた適正服用量と効果

<2021.11.07, 2022.06.1, 2022.6.17記>

7-1. 排塩サプリ服用11ヶ月間の摂取塩分量・飲水量の変化,    7-2. 服用後の血圧低下, 

7-3. 摂取塩分量と飲水量の相間-塩分敏感性の向上,    7-4. 排塩サプリ長期服用の効果-まとめ

7-1.  排塩サプリ服用11ヶ月間の摂取塩分量・飲水量の変化

私は2020年11/17 から排塩サプリ(デルソル)の服用を開始して,本年(2021年)10月末まで約11ヶ月半経過した。排塩サプリは,今ではすっかり私の食生活に定着している。排塩サプリ服用のおかげで,塩分を気にせずに普通の食事,特に外食を愉しめている。本年7月頃からは,購入先のデルソルに定期コースができて,価格が少し安くなったことは,ありがたい。

以前の本ブログ「慢性腎臓病闘病記【4】- 排塩サプリの活用,コロナ対策」4-4 排塩サプリの効果では,排塩サプリ服用開始から2ヶ月間の飲水量や体調変化について記したが,この時は,短期間の経験のゆえに,排塩サプリの適正な服用量もはっきりせず,また,服用の効果についても,若干の効果は認められたものの,あまりはっきりしたことは言えなかった。

今回は,服用開始から約11ヶ月経過し,自分の食習慣に合った自分にとっての排塩サプリの服用適正量や効果について紹介したい。

 まず,2019年12月~2021年10月迄の1日当たりの摂取塩分量とデルソル服用量の月毎の平均値を示すと,表7-1のようになった。この表では,排塩サプリの服用を途中で開始した2020年の11月を除いて,服用前と服用後の11ヶ月間の値を示している。

     表7-1:1日当たりの摂取塩分量・飲水量とデルソル服用量の月毎の平均値

表7-1にあるように,2021年2月から4月までは,デルソルを節約して少なめに服用していた。この期間では,デルソル1錠当たり摂取塩分量が5.1mg~6.4mgの割合で服用していたことになる。この服用量は少なすぎたようで,塩分の多い食事をしたときの喉の渇きは強かった。

そこで,2021年5月頃から,排塩サプリの服用量を少し増やした。5月~8月は,平均でデルソル1錠当たり摂取塩分量が3.1~3.7gの割合になっている。2021年9月以降は,また排塩サプリの服用量が少し減りはじめ,デルソル1錠当たり摂取塩分量が3.9g~4.0gになっている。

このことからわかるように,自分の食習慣にあった自分にとってのデルソルの適正な服用量は,喉の渇きから判断すると,「摂取塩分量3g当たり排塩サプリ1錠」服用の程度のようである。

今後は,これまでよりももう少し服用量を増やして,この基準に近づけたいと思う。次節で述べるが,この基準に従った頃から血圧が低下し始めた。

なお,表7-1には,人工透析を受けているクリニックの血液検査によるナトリウムNa(mEq/L)の値も表示した。Na値はほぼ服用前後で一定である。ちなみに,血中のNa量は,人体の機能(恒常性)によって一定に保たれるようになっているらしいが,人工透析のダイアライザーでも余分なNaを排除しているらしい。

最近は,外食の無い普通の日では,デルソル錠を朝食時0錠,昼食時1~2錠,夕食時1~2錠を服用しているが,一般に塩分の多い外食の際は,メリハリをつけてデルソル錠を多めに服用して,上記の基準を守るように心がけている。

例えば,回転寿司を12皿位食べると塩分は寿司だけで4.8g,これに醤油が小さじ2杯としてその塩分が1,8gで計6.6g,さらに味噌汁(あさり)を飲むと2.3g程度の塩分が追加され,計およそ8.9gになる。するとデルソルは,3錠服用すればよいことになる。しかし,これまでの経験からすると,寿司・味噌汁を食べたときは,デルソル3錠でも,すごく喉が渇くので,4~5錠服用するのがよいと思う。多分,上に述べた塩分の計算が少な目であるせいかも知れない。

ステーキ,サラダ,パン,スープなどでは塩分は11g程度になる。この場合もデルソルは3錠では喉が渇くので,4錠がよい。

醤油ラーメンは3錠程度が適当と思うが,スープを飲めば4錠くらい必要かも知れない。

牛丼(中盛)と豚汁では3錠がよいと思う。

また,外食の際は,デルソルを食事中から飲む方が,食後に飲むよりも喉の渇きが少し余分に癒されて効果的であるように思われる。

このように,昨年の11月から服用を始めて,今年8月にやっと排塩サプリ(デルソル)の適正服用量を把握するに至った。

表7-1からは,摂取塩分量,飲水量とも,2020年11/17の排塩サプリ服用開始前後の各11ヶ月間でほとんど同じで大きな変化はないことがわかる。では排塩サプリ服用の効果はなかったのか,以下に考察したい。

7-2. 服用後の血圧低下

筆者は十数年前から高血圧治療を受けている。早朝高血圧があって,朝起床時の血圧がたかかった。

排塩サプリを服用し始めた2020年11月17日から約半年経った2021年の5月頃から,血圧が下がり始めた。それを平均血圧,早朝血圧(収縮時),脈圧の月ごとの変化でみてみる。2020年と2021年の値を比較する。

グラフ7-1a 平均血圧では,排塩サプリを服用し始めた2020年11月を除いて,その月の前後11ヶ月間の毎月の平均血圧,すなわち,2019年12月~2020年10月迄の毎月の平均血圧(青線で表示)と2020年12月~2021年~10月迄の毎月の平均血圧(赤線で表示)を比較したものである。横軸は月,縦軸は平均血圧を表す。ここで,平均血圧とは,算術平均で求めた値ではなく,1日に数回測定した収縮時血圧の平均値(a)と拡張時血圧の平均値(b)から,(a+2b)/3で与えられる式で求めた血圧値を,さらに1ヶ月平均とったものである。平均値の小数点以下は四者五入してある。

              グラフ7-1a 平均血圧 

グラフ7-1bには,早朝血圧(収縮時)の各月の平均値を示す。横軸は月,縦軸は早朝血圧(収縮時)平均値を表す。赤線と青線の表示については,平均血圧のグラフ51-aと同じである。

早朝血圧(収縮時)は,毎日朝起床20分以降に測定した収縮時血圧である。1ヶ月平均する前では,170くらいの日も多々あった。

          グラフ7-1b 早朝血圧(収縮時)

同様に,グラフ7-1cには,同期間内における各月の脈圧平均を示す。横軸は月,縦軸は脈圧平均を表す。脈圧は,1日に何回か測定する収縮時血圧と拡張期血圧からその差(収縮時血圧-拡張期血圧)を求め,それらの1日内の平均値をさらに1ヶ月平均したものである。脈圧については,その正常値は40~60とされている。脈圧が正常値より高いと,動脈硬化が疑われるらしい。脈圧平均の低下は,すなわち,血圧の上下(収縮時と拡張期)の差の平均値が小さくなりつつあることである。

                グラフ7-1c 脈圧平均

これらのグラフに示されているように, 排塩サプリの服用量が,デルソルを多めに服用して,「摂取塩分量3g当たり排塩サプリ1錠」に近づいていた2021年5月頃から8月頃までは,平均血圧,早朝血圧,脈圧のいずれも前年の同月の値よりも下がっている。逆に,この基準値満たさない月では,血圧はあまり低下していないことがわかる。

血圧のこれらの低下は排塩サプリ服用による効果ではないかと思う。この効果は,特に早朝血圧や脈圧へ影響が大きいように思われる。これらの低下は,気温が低くなる季節に入ってゆくと血圧も上がってゆくので,低下の程度が多少小さくなると思われるが,これらの低下傾向が今後も続くのか,今後も注視してゆきたい。

7-3 摂取塩分量と飲水量の相間-塩分敏感性の向上

毎月の摂取塩分量-飲水量の相間(「SW相間」と呼ぶことにする)をみてみる。例えば,2020年2月と2021年2月のそれぞれの相間グラフ場合をグラフ7-2aに示す。フラフには,近似曲線(直線)と数式も表示してある。

            グラフ7-2a 摂取塩分量-飲水量の相間 

2019年12月~2020年10月までの各月の「摂取塩分量飲水量の相間における近似曲線の傾き」を表52-1に示した。同表おいて,濃いオレンジ色の部分は,全年よりも傾きが急になった月である。こうした月が多い。

     表7-2-1 摂取塩分量-飲水量の相間 近似曲線の傾き

例えば,2021年2月の相間グラフの近似曲線は2020年2月のそれより急になっている。

2020年2月と2021年2月の相間グラフは,傾きの違いが最も大きな月であった。この傾向をわかりやすくするため,2020年と2021年の2月の塩分-飲水量分布をグラフ7-2bに示した。

        グラフ7-2b 塩分-飲水量分布 2020年と2021年の2月の比較

排塩サプリ服用後に接種塩分量と飲水量の相間グラフの近似曲線の傾きがより大きくなった月が多いということは,接種塩分量・飲水量は前年とほぼ同じだから,2021年になると(排塩サプリ服用後),塩分量が低めの日々が多くなる(飲水量は高めの日々)ということを意味している。実際,各月で接種塩分量が15以上の日,飲水量が1500mL以上の日を表7-2-2に示したが,このことはこの表からもわかる。

    表7-2-2 月毎の接種塩分量が15mg/日以上の日数と飲水量が1500ml/日の日数の比較

接種塩分量や飲水量がかなり多い日は,外食,会食,旅行,多少激しい運動(庭木の剪定など)などを行った日である。この表では,2021年度は特に新型コロナ・ウイルス蔓延の影響で旅行はほとんどなかったが,そうした影響も多少は含まれているであろう。

 

このように,服用を始めて以来,接種塩分量は服用前と大差ないが,服用前より塩分を少な目にとるような日々が増えている傾向がみられている。2021年に入って,近似曲線の傾きが大きくなったといことは,排塩サプリ服用後に,「塩分感受性」が高まったといえるのではないだろうか。また,排塩サプリを多めに服用し始めた後に,血圧低下が認められたということは,排塩サプリの服用によって,塩分が多少排出され,血中への塩分の吸収が多少抑えられていることを意味していると思われる。

7-4. 排塩サプリ長期服用の効果-まとめ

以上まとめると,「喉の渇き」という感覚から「摂取塩分量3g当たり排塩サプリ1錠」服用という基準が求められた。

月毎の平均でみると,摂取塩分量も飲水量も,サプリの服用後も服用前とおおきな変化は見られなかった。飲水量が減ると思ったが有意に減らない。飲水量を減らして,心臓への負担軽減を図るという目的は達成されていないようで少しがっかりした。しかし,服用後は塩分摂取の傾向あるいは食習慣が変化し,また塩分感受性も高まり,より低塩分の食事をより多くとるようになったことは喜ばしい。

感覚的には,これまで多めに存在していた私の体内の塩分の総量が基準値以内に減ってきたように思われる。もちろん。これは透析の効果も含まれているが・・・。

さらに,「摂取塩分量3g当たり排塩サプリ1錠」服用という基準に近づけて以来,血圧が下がり始めたことも喜ばしい。

排塩サプリの服用は,心臓への負担軽減は期待できなかったが,上に述べたような効果があるし,塩分の多い食品も塩分をあまり気にせずに食べられるので,今後も排塩サプリの服用を続けようと思っている。

(2021年11月7日記)

以上述べてきた摂取塩分量とは,口から入ってきた食物や飲料に含まれる塩分量であって,実際は,排塩サプリにより,これらの内の多少は体外に便(大便,尿は出ない)として排出される。したがって,実際に体内に吸収される塩分量を「吸収塩分量」として,定義すると,すなわち,

「吸収塩分量」=摂取塩分量-排塩サプリにより排出された塩分量

である。吸収塩分量は,大便に含まれる塩分量が不明であるので,どの位であるか分からない。排塩サプリの製造元からも,このようなデータは示されていない(試験管レベルの実験データを公表して頂きたいが・・・)。ただ,排塩サプリを服用した場合には,服用しない場合に比べて,喉の渇きが幾分か低減すると感じられるので,排塩サプリによって塩分が多少なりとも排出されることは確かであると思う。

私の場合,1日当たりの塩分摂取量は平均で11~12gであるが,排塩サプリにより塩分が2~3g排出れるとすれば,吸収塩分量は1日当たり8~9g程度ではないかと思う。

(2022年6月17日追記)

【追記】排塩サプリの即効性について

食後,数時間の範囲で考えれば,水分の摂取は,排塩サプリ(Del Salt)を飲んだ場合は,飲まない場合に比べて減少するであろう。しかし,残念なことに,排塩サプリには即効性は期待できないようである。もし,排塩サプリに即効性があれば,塩分の高い食物を摂取した後,すぐに排塩サプリを飲めば,「のどの渇き」は軽減されるであろうが,そのようなことは無く,食後しばらくは,のどが渇く。これがこれまでの長期服用から得た経験である。今後,即効性のある新たな排塩サプリが開発されれば助かると強く思う。

(2022年6月1日記)