私の好きな庭園-三島溶岩流の末端に造られた楽寿園
西伊豆の入口とも言える東海道本線の三島駅の南口から徒歩ですぐのところに,「楽寿園(らくじゅえん)」と呼ばれる庭園がある。ここは,三島市の市立公園である。
【写真】楽寿園入り口
最近はあまりゆかなくなったが,以前は,ここの庭園が好きで,こちらに来る際には必ず立ち寄った。
昔,1万年前の富士山の噴火で流れてきた溶岩が三島で止まった。すなわち,三島は流れてきた溶岩の末端にある街だ。富士山の南側には標高1504mの愛鷹山(あしたかやま)があるので,溶岩はその東側を迂回して流れ,三島まできて止まった。三嶋大社の入口の掲示板にその絵と説明があった(写真)。街は傾斜地が多い。三島駅の南側からは緩い傾斜地が続く。楽寿園は,流れてきた溶岩の丁度末端部にある。
【写真】三島市への溶岩の流れ
【写真】三島大社
また三島は富士山からの湧水が豊富だ。三島ではうなぎをこの清らかな水で泥抜きするので,味がしみるようにおいしい。
三島駅から三嶋大社へ向かって,清らかな湧水が流れる細い流れ「桜川」に沿って「水上通り」が通っている。その道端には,三島にゆかりのある文学者の作品を刻んだ数々の文学碑があって,それらを見ながら散歩するのは実に楽しい。
こうした,三島溶岩流の末端部に楽寿園はある。楽寿園は天然記念物やジオサイトとしも指定されているところだ。
楽寿園には,写真のように,溶岩の中に「小浜池」と呼ばれる池がある。2005年に訪れたときは,この池は渇水か工事のためか水が無かったが,このためにかえって,池の底の溶岩が顕わになり,池が三島溶岩流の末端部にあることがわかった。池を見渡す場所には,流れてきた溶岩の上に,かって小松の宮彰仁親王様の別邸であった「楽寿館」と呼ばれている建物がある。
【写真】園内にある三島溶岩流の看板
【写真】夏の楽寿館と小浜が池(工事中で水は抜かれていたと思う)
【写真】冬の楽寿館遠景と小浜が池(工事中で水は抜かれていたと思う)1
【写真】冬の楽寿館遠景2
【写真】楽寿館前の冬の庭1
【写真】楽寿館前の冬の庭2
【写真】楽寿園の庭
また,楽寿園には素晴らしい石灯篭(写真)がいくつかある。私は,中でも写真「園内の石灯篭1」の鞍馬灯篭と呼ばれている石灯篭が気に入っている。鞍馬石でできた最大級の灯篭らしい。鞍馬石は鉄分を含むので,この灯篭は茶色ががかっていて風合いが良い。この灯篭は相当高価であったらしく,昭和27年当時でも,この辺りの土地1300坪,100万円相当であったと説明書きにある。
【写真】園内の石灯篭1(鞍馬灯篭)
【写真】鞍馬灯篭と説明書き
他にも園内には,すばらしい灯篭がある。
【写真】【写真】園内の石灯篭2
【写真】園内の石灯篭3
私は,楽寿館と小浜池,いくつかの素晴らしい灯篭などが醸し出す独特の風情をなすこの庭園が大好きだ。
楽寿園の一部は子供向けの遊園地や動物園になっている。三島市の公園であるので,子供向けの遊び場も必要なので,このことは止むを得ないが,筆者には少し残念であった。あくまでも静謐な庭園であってほしかった。
写真は2005年の2月に撮ったものが主で,同年7月のものも混ざっている。また訪ねたいと思ってる。
2020年8月記