新しい生き方-白秋歌碑を見て思う (2008)
〔生徒会誌「潮」2008〕 新しい生き方-白秋歌碑を見て思う 学校長 下條隆嗣 昨年の年末に休養のために岐阜県恵那市にある恵那峡を訪れた。恵那峡ダムの近くにある「さざなみ公園」で北原白秋の歌碑に出会った。 薄のにしろくかほそく立つ煙 あわれなれとも消すよしもなし 「ススキの野原にうつすら細い煙が立っている。きっと火がついているのだろう。ススキが燃えてしまつてかわいそうだが,消すこともできずどうしようもない」という意味であろうか。 白秋は幾度となくこの地を訪れたようだが,この歌を詠んだのは,ダムができる前かできた後かはわからない。ダムができる前はきっと川岸のあちこちにたくさんのススキ野が広がっていたのであろう。しかし今の満々と水をたたえた川の川辺にも枯れたススキの群落が小規模ながら点在している。 私はこの歌に出会って胸がキュン...