■科学/科学教育・教育研究
教科教育研究領域マトリクス
教科教育研究領域マトリクス 1990(平成2)年~1991(平成3)年にかけて,東京学芸大学が中心になり,全国の教科教育関係者と共に「教科教育における教育実践情報に関するデータベース化の開発研究」が行われた。 この表は,教科教育研究の全体像を示す表である。当時,東学大におられた社会科教育学の佐島群巳先生がおつくりになったものであり,筆者が佐島先生から頂いて,「いいなあ」と思い,報告書(参考文献)の付録に収録させて頂いたものだ。 今から30年以上前につくられた表であるが,その内容は今でも通用すると思う。 参考文献 教科教育における教育実践情報に関するデータベース化の開発研究,平成2~3年度科学研究費補助金総合研究(A) 研究成果報告書,平成4年3月,研究代表者 降旗勝信(1-300),東京学芸大学. (下條隆嗣 単独執筆)Ⅰ...
「小学校理科教育法」
「小学校理科教育法」 東京学芸大学理科教育検討会編(編集代表:下條隆嗣),学術図書出版社,2002. 私が1984年に物理学教室から理科教育教室へ移籍してすぐ,講義が押し寄せてきた。教員免許上,全学生が対象だから授業負担枠は多い。ところが,教科書がない。当時の理科教育の大学生用の教科書は,授業案や観察・実験法の紹介,あるいは理科教育の研究の紹介を主にするもので,教師の立場に立って,理科教育について授業に密着する体系的な内容のものは見当たらなかった。理科教育に移って,講義を担当する段になって,そのことに驚いていた。 自分なりに講義ノートを作っていたが,移籍から8年目の時,出版社から私に小学校理科教育法の教科書の執筆の話がきた。そこで,適切な教科書が出版されていない現状を鑑みて共同執筆にして出版を急いだほうがよいと...
「カオス力学入門-古典力学からカオス力学へ-」
シミュレーション物理学6 「カオスカ学入門-古典力学からカオス力学へ-」, 近代科学社, 下條隆嗣著,近代科学社,1992. 若いころ,プラズマの研究のなかで,カオスに気づいて少しずつ勉強して書いた本である。初版から今年までにすでに28年たっているが,いまだに販売されているようでうれしい。初版の出版当時,大きな書店には,この本が何冊も積まれていたことを覚えている。また,友人の教えてくれたところによると,この本の書評が3つでていたとのことである。私は残念ながら一つも見ていない。 一時期,レーザーや荷電粒子ビームによってプラズマ中に生起するラングミュアー波(縦波)の3波相互作用の研究をしていた。波のcorrelationが,入射荷電粒子に対する阻止能に影響することを示した研究成果は,イタリアの物理学会誌に投稿した【...
パソコンによる断熱不変量のシミュレーション:単振子の引き上げ」における糸の長さの関数形
パソコンによる断熱不変量のシミュレーション:単振子の引き上げ」における糸の長さの関数形 単振子をはじめゆっくり,次第に早く,最後はまたゆっくりと引き上げると,近似的に保存される量「断熱不変量」がある。これをシミュレーションするプログラムを昔,開発した。断熱不変量はカオス力学を学ぶ上で重要な概念の一つであるが,その意義やこのプログラムについては,拙著(下記文献1))や筆者らの論文(下記文献2))を参照されたい。 このプログラムについては,私の著書「カオス力学入門」にも紹介してある。この本はまだ販売されているようであるし,また,元の論文(下記文献1)もネットで公開されているようだ。今でもこれらの文献を見て下さる方がおられるようなので,振り子の糸の長さの時間変化を与える関数形などについて,一言書いておきたい。 それは,筆者が若いこ...
「プラズマ物理学の基礎」
「プラズマ物理学の基礎」 V.E.ゴラント,A.P.ジリンスキー,I.E.サハロフ著,下條隆嗣・田井正博(共訳),現代工学社,1986. 本訳書の出版が企画された当時, ロシア(旧ソ連邦)では,プラズマ物理学の研究が大きな進展を見せていた。磁場閉じ込め方式の核融合実験炉トカマクは当時世界の最先端であったし,理論面でもLeontovich の編集になる“Reviews of Plasma Physics”というシリーズものの著作や,Kadomtsev の“Plasma Turbulence”などの本が次々に刊行されていた。これらは,次々にロシア語から英訳されていた。 ゴラントらの表題の原著は,プラズマ中の波動に着目して書かれたKadomtsev の本とは対照的に,プラズマ中の粒子衝突を前面に出したロシア語の本である。「プラズ...